『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング(唐木元)』は、「書く仕事」じゃない人にこそ勧めたい。


唐木元さんの『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』を読みました。

唐木元さんは、音楽や映画の大手ニュースサイトとして有名な「ナタリー」の取締役をされており、そのナタリー系列の1つである「コミックナタリー」を編集長として立ち上げた方。

本書は、そんな唐木さんがナタリー内で新人教育として行っているライティング教室のエッセンスが、ぎゅっとまとめられたものです

一応、書き物を扱うことが多い人間として、気になって読んでみたのでした。

ぶっちゃけ半分以上はかなり基本の話

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「いつも淡々と分かりやすく、読みやすい記事を迅速に上げられているナタリーの教育担当の方が刊行されたものなのだから、きっと予想だにしなかった驚きのテクニックが散りばめられているに違いない!」

と、意気揚々と購入を決意したところが正直あったのですが、いざ蓋を開けてみると半分以上は基本の話

かなり我流でやってきた自分でも、ネットで調べて学んでいたり、書いているうちに分かってきたようなものが結構ありました。

例えば。

×  マーケットがあったので、お土産を買っておきたかったので入ってみた。
 
○  マーケットがあったので、お土産を買っておきたかったため入ってみた。
 
「ので」がダブってしまい、一気に幼稚な印象になってしまいましたね。理由・根拠を表す「ので」なので、機能の同じ「ため」に置換して重複を解消してみました。

こういうのって、たぶん「何となく身についた」って方、結構いると思うんです。書くことが好きだったり、そういうのを仕事にしている人なら特に。

だからこそ僕は、この本は是非とも、いわゆるライターや編集といった「書く仕事」をされている方以上に、それ以外の人にこそ読んでほしいと思いました。

「良い文章」=「完読される文章」を作れる能力は、全社会人が身につけるべきスキルだと思う

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本書が冒頭で掲げ、最後まで軸として置き続ける「良い文章」の定義は、「完読される文章」です。

この本ではおしまいまで通して、「完読される文章が良い文章」ということに設定します。

長くなってしまうので引用はしませんが、逆説的にその理由をざっくり述べると、「文章が分かりづらい。間違いだらけ。役に立たない。内容が薄い。…いずれの理由でも読者は途中で”離脱”という行為を選択するから」。

 

あくまで本書は「書く人」向けに作られたものですが、この「完読される」という部分は、実はもっと多くの人が達成すべき、というか達成できなければ圧倒的に損を食らうことになる部分です。

例えば企画書1つ取っても、せっかく良い内容なのに分かりづらかったり、誤字脱字だらけだったりして伝わりきらず、ボツになってしまったらどうでしょう。

あるいはせっかく良いことをチームメンバーに向けて発信しようとしているのに、そういった理由でまともに最後まで聞いてもらえなければどうでしょう。

さらに言うと、「正しく書く」ことができなければ、高確率で「正しく話す」こともできないもの。もちろん、会話だと身振り手振り等で補える部分はあるのですが、話すという行為は基本的に、書くという行為より圧倒的な速さで推敲しながら(あるいは推敲を飛ばしながら)文章を組み立てる行為です

「まともに論理立てて書けない人が、まともに論理立てて話す」のは、おそらく非常に稀でしょう。伝わるプレゼンができることは、おそらく稀でしょう。

だからこそ、全社会人が「完読される文章を作るコツ」というのは身に付けるべきだと思うのです。ちなみに個人的には、この重要性に気づかずにめちゃくちゃ損し続けている人、かなりいるんじゃないかという印象を日々受けていたり。

基本の話で、かつ丁寧。

冒頭で述べたように、本書にはかなり基本的な書き方のコツ、伝わる文章を組み立てるコツが多く詰められているのですが、もう1つ言葉を補うなら「懇切丁寧」です。

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文章はもちろんのこと、色や図を使って非常に分かりやすく記されています(ちなみにKindle版は固定レイアウト形式で販売されているため、上記のように紙版と同じデザインで表示されます。そしてマーカー等いっさいできないので注意)。

だからこそ、今まで「書く」ということをそれほど力を入れて行ってこなかった人にこそ、優しく得られるものが多く、オススメできるのです。

まとめ

というわけで、書くことを仕事等で日頃からされている人にも、辞書的に使えるという意味ではオススメできますが、それより何より「書くことが専門ではないけれど、何だかんだ考えてみると書くことって結構あるよね」という方たちに是非とも読んでもらいたいと思いました。

あと「文章が正しいかどうかなんてどうでも良くて、大事なのは中身だよ。ナ・カ・ミ!」みたいな人にも、本当は読んでもらいたい。確かに中身が1番大事だけど、そういう人にもいろいろと納得してもらえることが数多く詰まっていると思います。まあ絶対手にも取ってくれないんでしょうけど、そういう人…。

しかしこんな記事を書いておいて、変な文章になってたら笑いものだよね。まあその辺は目をつむってやってください。愛でカバーしてください。


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