「泣き歌」が秘める、MVではない「映像コラボレーション」の可能性 ー 長編ストーリーによる丁寧な描写が聴衆の心をより引き寄せる?

今日、とある音楽と映像の融合作品を見て、とてもグッときました。前評判が良かったので期待してはいたのですが、それでもグッときました。

浦島太郎(桐谷健太)「海の声」

これです。

最近auが放映しているCM「三太郎」シリーズ(松田翔太演じる桃太郎、桐谷健太演じる浦島太郎、濱田岳演じる金太郎をメインキャラクターとして展開されています)のある1編で挿入された1曲。

CM自体はこちら。1分ほどの短いものです。

まずこのCMが7月17日より放送され、同時にYouTubeでの公開がスタート。その後大反響が起こり、2週間でYouTubeは再生回数100万回を突破。

7月末よりauの音楽配信サービスである「うたパス」および「LISMO Store」でフル配信がスタートし、ちょうど先日、YouTubeでのMV配信がスタートしました。

浦ちゃんが歌手デビュー!? 三線で乙ちゃんへの想いを弾き語り! au 三太郎シリーズ新CM 高音質通話auガラホ「海の声」篇 |KDDI株式会社のプレスリリース

You Tube 再生回数100万回突破!CMで話題の歌声をハイレゾ音源で auガラホのCMで浦ちゃんが歌う「海の声」うたパス、LISMO Storeにて配信決定!|KDDI株式会社のプレスリリース

映像でゆっくり丁寧に語られる文脈が涙を誘う

この曲、三線の響きとメロディーラインからお分かりになった方もいるかもしれませんが、作曲はBEGIN。僕も初めに聴いたとき、同じくBEGINが楽曲提供していた「涙そうそう」が思わず頭に浮かんだので、すごく納得のいく話です。

涙そうそう - EP

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しかしそれと同じくらい重要な「良い楽曲になった・良い評価を得た要因」として、ここまでのCMシリーズによってゆっくりはっきりと語られた文脈が挙げられると思います

そもそもこのCMシリーズは昨年末から始まったものなんですよね。

桃太郎(松田翔太):だから浦ちゃんモテねえんだよー。

浦島太郎(桐谷健太):なんで今その話…?

桃太郎:彼女とかいないから、乙姫に騙されんの。

この序盤の物語からすでに「モテない・彼女がいない故に純真無垢すぎる系男子」が描かれていたわけです。ちなみに乙姫は菜々緒さんが演じています。

そして夏間近の時期にオンエア開始となった「夏のトビラ・竜宮城」篇。

金太郎(濱田岳):あ、浦ちゃんさ!乙姫のこと好きなんでしょ?

浦島太郎:…えっ。

桃太郎:じゃあコクればいいじゃん。

浦島太郎:…無理だよ。

基本的にコメディ仕立てでありながら、ちゃんとこの辺りの恋愛話はきちんと織り込まれ、じっくりと語られてきていたわけです

そしてそこに投入されたのが、浦島太郎が懸命に真剣に、乙姫のことを歌う「海の声」だった。ここまでのストーリーを知っている人だと、いろいろ相まって尚更ぐっと来ちゃうものがあるのです。

他にも例があった

よく考えると、似たような例がいくつかありました。

KANA-BOON「生きてゆく」 ー 25分に及ぶ”完全版”MVを制作

KANA-BOON(カナブーン)が昨年夏にリリースした楽曲「生きてゆく」は、通常版MV(こちらは5分ほど)とは別に、「完全版」と題し25分に及ぶビデオクリップを期間限定でYouTubeにて公開していました。

生きてゆく - Single

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完全版は現在は視聴できません。こちらは現在も引き続き公開中の通常版。

25分かけてじっくり描かれるバックグラウンドとの相乗効果は、大きな反響を呼びました。

「ソラニン」 ー 映画のクライマックス、亡き恋人に向けヒロインが全力で歌う

原作者(マンガ)の浅野いにお氏が作詞、アジカンことASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文が作曲。

映画「ソラニン」で全編かけて重要な鍵となるテーマソングであり、劇中クライマックスでは宮崎あおい演じるヒロイン・芽衣子が初めてのライブステージで全身全霊で歌う、同名楽曲「ソラニン」。

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アジカンによるものしかYouTubeには上がっていないので、ひとまずそちらを貼っておきますね。

こちらも2時間ほどの映画というフォーマットの中で、その楽曲が歌うテーマやバックグラウンドをしっかり描いた上で最後にどかんと来るという、類似の形をしていると言えます。

ソラニン

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「泣き歌」と「長編映像による丁寧な描写」は最高の組み合わせかもしれない

テレビCM、別バージョンの長編MV、映画と様々な形がありましたが、今回紹介した楽曲は、どれもダンスビートのようなノリ主体のものではありません。じっくりじわじわ染みわたる「泣き歌」といいますか。

つまりこういった「泣き歌」と呼ばれるタイプの楽曲は、「長編映像による丁寧な描写」を介すことで、よりその楽曲の魅力を引き出せるのではないでしょうか。

もちろん映像制作のハードルというのはバカにならないですが、スマホとYouTube等の組み合わせで簡単に映像メディアにアクセスできる時代、こういった手段が強く機能する可能性は、積極的に意識していくべきだと思いました。

「ドラゲナイ」がいつ、どこで、どのように生まれ、盛り上がっていったのか調べてみた。 | よしオト。

よっしー
1995年大阪生まれ 音楽とインターネット育ち。 詳しくはこちら。