不毛な議論をなくし、生産性を向上させるコツとは:「チームのことだけ、考えた。」(青野慶久)を読みました


仕事やボランティア、サークル・部活動など、私たちは生きている中で、大小あるいは多い少ないはあれど、様々な形で皆どこか「チーム」に所属していることだと思います。

そんなチームでの活動をより円滑に、意味のあるものにするためには?

そのヒントは、青野慶久さん著「チームのことだけ、考えた。」から得られるかもしれません。

サイボウズ株式会社 代表取締役社長・青野慶久さん「チームのことだけ、考えた。」

青野さんは、サイボウズ株式会社で現在、代表取締役社長を務められています。

サイボウズは、グループウェアと呼ばれる、グループ(チーム)での情報共有ツールを中心に、世界中のチームワークをより良くするという方針で事業を展開する、日本のソフトウェアメーカー。

「チームワークを促進する製品を作る会社」として、とにかくチームでの仕事の効率化を計るための制度策定や思考法導入などを、積極的に行われており、本書はその辺りの話を、他社でも応用できる参考として記しています。

元々はザ・ブラック企業だったサイボウズが、どのようにしてホワイト化したのかといった経緯など、会社設立からのヒストリーも語られておりそれも面白いのですが、ここではそれは置いておき、サイボウズ式の議論最適化メソッドだけ取り出し、覚え書き兼ねてまとめておこうと思います。

議論の生産性は「事実」と「解釈」の切り分けで向上する

チームでの活動には、会議といった形で、必ず議論の場が付いてきます。目標の擦り合わせ、方法の選択、手順の構築、仕事の分担など…。

それらは必ずスムーズに進むとは限らず、ときには意見の対立もあるでしょう。しかしそれによって、チームとしてのより良い生産に繋がることも多いはず。意見の対立自体は、驚きの化学反応に結びつく可能性も秘めているわけですから、悪ではありません。

問題は、意味のない議論。

噛み合わない議論を延々と繰り返すのは我慢できない。長時間議論した挙句、何も決まらないこともある。その時間は何も生まない無駄な時間だ。声が大きい人の意見が何となく採用されてしまい、後で余計なコストがかかることも多い。ロジカルに議論できていれば、そうはならなかっただろう。

思い当たる節がある方が多いかもしれません。

そんな噛み合わない、不毛な議論をできるだけ無くすために、サイボウズ社はある思考法を取り入れているようです。 それは、「事実」と「解釈」を明確に切り分けて考えるということ。

「『事実』と『解釈』は別物である。実際に起こったことが事実で、それを見て思ったことが解釈。たいていの場合、事実は大したことはない。解釈を付け加えることで、人は感情的になってしまう」

これは私にとって衝撃的な発見だった。私も批判されるとよく感情的になるが、事実は「Aさんに○○と言われた」だけである。私がさまざまな意味を付けて解釈するから腹が立つのである。

議論がまとまらない理由、いろいろあるのだとは思いますが、大きな1つの要因として、「解釈」=「ポジティブ・ネガティブ、いずれかの感情に偏った発言」をベースに進めようとするから、参加者各々のポジティブ・ネガティブがそもそも一致せず、ということが挙げられるわけですね。 分かりやすい例がこちら。

「最近、製品の評判が落ちている。営業部はみんなそう思っている」。

よく読んでみると 、この発言には事実の要素がない 。 「評判が落ちている 」というのは 、この人が思った解釈だが 、ここでは裏付けとなる根拠は示されていない 。そして 、本当に 「みんなそう思っている 」のだろうか 。 「みんな 」というからには数十人の営業メンバ ー全員が思っている 、ということになる 。にわかには信じがたい 。つまり 、自分の意見を通したいがために 「評判が落ちている 」とか 「みんなそう思っている 」とか 、事実ではない言葉を巧みに使い 、感情的に相手を抑え込もうとしているのだ 。こういう発言が飛び交う会社で 、建設的な議論などできるはずがない 。

数値など、フラットな事実だけを中心にし議論せよ、と…言われてみれば確かにそうですよね。しかし簡単なことではない。しっかり意識していきたいところです。

あらゆるチーム活動で活きる思考法、詰まってます。

本書はタイトル通り、長い間「チームのことだけ、考えた」筆者ならではの知見が、多く散りばめられています。もちろん今回の議論の部分だけではありません。

何かしらチームでの活動をされている方であれば皆、勉強になることが多いと思います。特にリーダーのような役回りを務めることが多い人には、是非とも読んでもらいたい1冊だと思いました。


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