「何者」の気持ち悪さは、”過大表現なのにリアル”なところにある

「何者」を見た。

映画「何者」公式サイト

ビジュアルからも明らかな通り、”就活”をテーマにした映画。

僕もつい数ヶ月前までは就活生だったということ、あと中田ヤスタカ feat.米津玄師による主題歌「NANIMONO」が良かったということで、気になって見てきた次第。

たぶんネタバレ含みまくるので、これから見ようか考えている人は注意。

”人間ホラー映画”

Webを見ている限り、終盤のトンデモ演出にもやはり驚きの声が上がっているようだけど、何より話題となっているのは「ホラー映画じゃねえかこれ」ということ。

これはなるほど、悪くない表現だと思う。確かに「怖い」とか「気持ち悪い」といった辺りが、実際の鑑賞後の感想である。「世にも奇妙な物語」の後味に近いかもしれない。

ただ、これに関して「何者がホラーな理由」みたいな記事がいくつか出ていてざっと読んだのだけど、あまりしっくり来るものがなかった。

僕が「何者がホラーな理由」をまとめるなら、この一言に尽きる。

「過大表現なのにリアルだから」

この作品の登場人物は、確かに大学生、または就活生あるあるそのものだと思う。そして多くの日本人が向き合ってきた/向き合っている「就活」をテーマとした作品――。

そういった意味ではリアルなのだが、一方でその各個性などの描き方は、いかにもフィクションらしい極端なものになっている部分が多々あるし、ましてや「就活対策本部」なんてものを設置した人はおそらくいないだろう。

また現実で、あれほど露骨に仲間割れのようなものが起こったり、そこに恋愛が絡んできたりするものだろうか。――やはりエンターテイメントらしい印象も受けることは否定できない。

しかしあのグループの中で時に渦巻いていた、何となく近況を聞きづらい雰囲気、どこかで他人を嘲笑しつつも隠していた思い、崩れ落ちてしまいそうな自分を守るためについた嘘…それらに身に覚えがあった人は案外多かったのではなかろうか。

この「過大表現なのにリアル」という”違和感”こそが、何者が醸し出すホラーの正体なのだ。就活対策本部なんて名前のついた集まりはなかったとしても、それに近いものが、例えばいつもの友達同士で生まれていた――そんな嘘っぽいのにデジャブのような感覚を覚えさせられる点。これである。


ちなみに、原作者である朝井リョウさんは、「ホラーという単語を用いて映画の感想が多く書かれているのが面白い」という皆をツイートしている。

(このあと「ホラー」という単語が含まれた感想ツイートのRTがいくつか並ぶ)

この書き方だと、もしかして原作小説はここまでホラーな仕上がりになっていなかったのだろうか。ちょっと気になる。