今こそ身につけたい。凡人であることを誇りに持つために必要な「マーケット感覚」とは

ちきりんさんの『マーケット感覚を身につけよう』を読みました。

最近はインターネットの普及で、いわゆる”すごい人”が数多く目につきやすくなりました。それによってより頑張ろうと思える人も現れた一方で、「いや、自分みたいな凡人なんて…」と萎縮してしまう人も増えたように思います。

本書はタイトルにもある『マーケット感覚』と呼ばれる新しい価値観・物事の捉え方について、その定義から何故それが必要なのか、またどうすれば身につけられるのかまで記されています。

そして、このマーケット感覚とは、自分が凡人と思う人こそ身につけたい考え方なのです。ご紹介したいと思います。

マーケット感覚=「価値を認識する能力」

本書がテーマとするマーケット感覚とは、一言で言うと「価値を認識する能力」のことを指します。

言い方を変えれば、いま世の中で一般的に価値があると言われているものが、本当に(自分にとって/近い将来においても)それほどの価値があるのか見極められる力であり、逆に世の中的には価値がないと言われているものが、本当に(自分にとっても/将来的にも)価値がないものなのか判別できる力とも言えます。

すばらしい学歴や職歴に加え、難関資格から専門知識まで持ちながら、不安から逃れられない人がいる一方、ずっと少ないものしかもっていないのに、「なんとかなる」「なんとでもなる」という自信とともに、世の中をわたっていける人もいます。この両者の違いがまさに「売れるものに気がつく能力」であり、「価値を認識する能力」の差です。

本書ではこの能力を、「マーケット感覚」と命名しています。

マーケット感覚とは、その市場で取引されている価値が何なのか、感覚的に理解できる能力のことでもあります。

注意したいのがここで言われている市場は、”金融や商売におけるお金や物々交換の市場”のことだけを指しているわけではないという点。スキルや労働力の取り引きもすべて含まれているということです。

マーケット=市場とは、

  • 不特定多数の買い手(需要者)と不特定多数の売り手(供給者)が、
  • お互いのニーズを充たしてくれる相手とマッチングされ、
  • 価値を交換する場所

のことです。なお本書では「市場」と「マーケット」という言葉を併用しますが、このふたつは同じ意味だと思ってください。

たとえ物々交換であっても、不特定多数の買い手と売り手がマッチングされ、なんらかの価値を交換するなら、それらの場所は、すべて市場と呼ぶことができます。この定義に沿って考えれば、就職活動も学校選びも婚活も、すべて市場です。

非常に身近なものであり、日常的なものであるという点は理解したいところですね。

「自分は能力がない」「凡人だ」ではなく、「マーケット感覚に欠けているだけ」と疑え

では、このマーケット感覚に欠けているとどうなるのか。

自分のすぐそばに「価値あるもの」が存在していても、その価値を認識する力がないと、「自分の周りには何も価値あるものがない」と思えてしまいます。

つまり、今の自分はすでに価値があるスキルを持ち合わせているのに、それに気づけず「自分は凡人だ」というところで思考停止してしまうのです。

今は多くの人が、「これからの社会で求められるのは、どんな能力なのか?」という問いへの答えを探しています。実はこの問いに対する私の答えこそ、「マーケット感覚」です。

どんな分野であれ10年も働いたら、「自分には売れるモノなど何もない」なんてことはありえません。もしそう感じるのだとしたら、その人に足りないのは「価値ある能力」ではなく、「価値ある能力に、気がつく能力」です。

特別大したことには思えないようなことでも構いません。何となく長く続けてきた、自分では当たり前のように思えることがあれば、それは切り込み方を工夫することで価値あるものに変化する可能性が十分にあります。

例えば自分がオタクのようにハマっていることがあれば、そこに少なからず宿るであろう「この人にならこれをまずは見てほしい知ってほしい」というレコメンド力だって、今はある種の価値を持ち始めていますから。

なぜか。当たり前ですが、それを必要とする人がいるからです。あまりに事物が増えすぎてしまった先進国の人たちが、「ひとまずおすすめから齧っていきたい」という需要を持ち始めているからです。

多すぎるほどのモノやサービスが溢れている先進的な消費大国においては、「誰かに選んでもらうという価値」は、今後ますます重要になります。

つまりこれから必要になるのは、当たり前に思える自分の能力等を改めて見直し、切り口を変える・出し方を変えるなどして、新たにそこに価値を見出せる力なのです。

自分独自の価値判断ができないと、現時点で値札が付いていないモノの価値は、ゼロに見えてしまいます。「自分にはなんの経験も取り柄もない」と言う人は、その典型です。

「今、自分を雇ってくれる人はいない」

「今、自分の労働力には値札が付いてない」

「だから自分には価値がない」

という発想では、誰かが値札を付けてくれるまで、自分で自分の価値が認識できません。

また、先ほどのレコメンド力なんかは特にそうですが、普通の人の”目”というのは思いのほか今は需要があるのです。これも覚えておくと、自分は凡人だからなんてところで思考停止はしにくくなりそうですよね。

世の中で最も多いのは「普通の人」であり、一番大きな市場は「普通の人をターゲットにした市場」です。だから、自分が「普通であること」の価値を、過小評価する必要はまったくないのです。

今こそ身につけよう、マーケット感覚。

本書はそのマーケット感覚の重要性を詳しく説きつつ、さらにどうやって身につけるのかというところまで詳しく書かれています。

紹介しましたように、これから生きていくにあたって就活、学校選び、婚活まで、おおよそほとんどの人が何かしらの市場にさらされることになります。そんなときに自分の価値を見出せず、塞ぎ込んでしまわないように、今こそ身につけるべきなのがこのマーケット感覚なんだと思いました。

身近な具体例でとても分かりやすく書かれています。ぜひそのような市場社会で生きていくことに不安を感じている人は読んでみてください。