知識と思考をごっちゃにするな:「自分のアタマで考えよう」(ちきりん・著)を読んで痛感した話。


最近、手当たり次第、本を読むことに抵抗がなくなってきました。そんなわけで読みました。ちきりんさんの「自分のアタマで考えよう」です。

ちきりんさんの本は前にも1冊、「マーケット感覚を身につけよう」というものを読んだので、できれば他の著者の方のものを読みたいという気持ちもあったんですが、ちょっとタイトルにドキッとして買ってしまった次第です。やられた。

今こそ身につけたい。凡人であることを誇りに持つために必要な「マーケット感覚」とは | よしオト。

自分のアタマで考えよう

幸か不幸か、「いや、そんなの言われなくたって分かっとるわい!」ではなく、「やべえ、自分を名指しして言われているみたいだ…」と自分は感じてしまったんですが、皆さんはどうでしょうか。

そもそも、「自分のアタマで考える」とはどういうことなのか。本書では、”必要な知識・情報を取り出し、比較などをして分析し、何かしらの結論(未来の予測)を出すこと”、この一連を「自分のアタマで考える」と定義しています。

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その上でちきりんさんが指摘するのは、「これらのプロセスをごっちゃにしていないか?」という点。つまり、「知識を並べただけで、自分のアタマで考え、思考したつもりになっていないか。自分で結論を出した気分になっていないか」と。

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本書には、この「自分のアタマで考えられていない病」(勝手に名づけた)の診断方法や、その病状・悪影響、そしてちゃんとした思考行為を習慣づける方法などが、ちきりんさんの軽やかな文体の中に散りばめられています。読みやすくも冷や汗を流しながらの戦いになるような1冊です。

「自分のアタマで考えられていない病」診断基準

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せっかくなので、診断方法(とは本書では呼んでいませんが)を本書からまとめておこうと思います。1つでもドキリとしたら、たぶんあなたも買いです

1. ある情報から楽観的なことしか読み取れない、反対に悲観的なことしか読み取れない

情報を見て考えられることをすべて列挙せよといわれたら、よい面と悪い面の両方が出てくるのが、「知識にだまされていない純粋な思考」の結果です

すべての可能性を考えたうえで「将来は楽観的」「悲観的」と、自分の意見を言うのは問題ありません。しかし、最初からどちらかの意見だけが頭に浮かんでくるとしたら、その思考には、目の前の情報以外のなにかが影響を与えているのではないかと疑ったほうがいいでしょう

これは…思い返すと結構ある気がする。

2. 「結論(あなたの意見)は何?」と聞かれても答えられない

「情報を集める」「数値情報をグラフ化する」のは、考えることとは違います。「話し合うこと」も「考えること」とは異なるのです。 「考えること」「思考」とは、インプットである情報をアウトプットである結論に変換するプロセスを指します

「私は考えた!」と言って、「じゃあ、結論(=あなたの意見)はなに?」と聞かれたときに、なにも浮かんでこないのであれば、それはじつは考えていないのです

こちらは個人的には分離して捉えられていたように思います。

ちなみにこの結論というのは、当たり前かもしれませんが、必ずしも”正解”である必要はないと。自分の中でひとまずの結論を出して、結論そのものやそのプロセスの差異を他者と比較し、検討できれば、全て価値あるものと捉えて良さそうです。

それは「仮の結論」でもいいし、最初の段階では間違ったものかもしれません。それでも「その時点での結論を出した」というのが、「考えた」ということです。

3. 「考える」行為はさほど時間も体力もかからないと思っている

「考える」のは寝不足ではできないし、細切れの時間内でも集中できません。

考える力をつけるためには、ひとつの情報にたいして十分な時間をかけてトコトン考えることが大事だと思っています。情報収集やそのグラフ化に1時間かかったのであれば、少なくともそれと同じ1時間はそのデータをにらみながら考え抜くべきでしょう。

具体的な話として、「例えば深夜にかけてExcelでデータ入力しまくって、グラフ作るだけで満足してない? 考える時間はそれ以上かかるんだよ?」といった例が、本書では挙げられています。

これは結構、衝撃に近かったかも…です。やっぱりあんまり考えることが出来てなかったのかしら。


というわけで、タイトルから中身までかなり耳が痛くなるような1冊でございました。ちょっと途中、例題の解説がくどすぎる部分もあったのだけは気になりましたが(真面目に取り込んで正解だったところもありました)、そういうところはサクサクっと読み進めてしまえば、とても良書だと思います。

前述もしましたが、特に上記の診断基準に1つでも思い当たりがあった方にはオススメです。


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